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Genesis Arc Project

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​Plot summary

あらすじ

そう遠くない、未来の話。

誰もが自由に繋がれるネットの海は、同時に匿名の仮面が跋扈《ばっこ》する暗い深淵でもあった。悪意の言葉が渦を巻き、世界は光を失っていく。

影響力を持つ者の声だけが正義となり、人々はそれに熱狂した。

小さな過ちでさえ瞬く間に増幅され、顔の見えない群衆は一人の人間を社会的に葬り去るまで断罪した。画面越しの暴力は奔流となり、個性は罪として扱われた。

そこにあるのは仮初めの絆、真の繋がりは失われ、世界は静かな孤独に沈んだ。

偽りの情報が人々を扇動し、世界が混乱の渦に沈んでいく。

経済は麻痺し、国家さえもがその機能を失いかけていた。

だがまだ世に知られていない企業が、この事態を予見していた。

リトルコネクト社は長年AIの研究を続け、水面下で既に次の一手を打っていたのだ。

まず開発されたのはAMiCA《アミカ》と呼ばれる、革新的なAIだった。

AMiCAは同調者《リンカー》の脳と直接繋がり、その思考や感情さえも深く理解する。言語や知識そして迷いさえも補うそのAIは、情報をリアルタイムで還元する、まさに万能の第二脳となった。

そしてリトルコネクト社は、その技術を発展させひとつのロボットを完成させる。

その名はArca-AMiCA《アルカ・アミカ》。

それは脳だけでなく、身体さえも補う究極の器だ。

生まれ持った才能や身体の壁を乗り越え、脳内でリンクさせた自分を意のままに動かせるのだ。

こうして誰もが等しい力を持ち、平等を手にした世界が訪れた。 だがその理想郷の光はあまりに強く、影で静かな歪みが広がっていたのだ。

平等は競争を奪い、努力する意味さえ失わせた。

人々は最適解という名の鎖に繋がれ、挑戦する心を忘れていく。感情は矯正され、言葉は毒を抜かれる。世界は無色透明の檻へと変わってしまった。

その裏で、星は静かに死に向かっていた。

Arca-AMiCAの大量製造は、地上の資源を喰らい尽くし、生態系を完全に破壊した。

生命の輝きが失われたことで、地球の核たるコアはその活動を停止。

星を覆っていた磁場が消失し、剥き出しとなった大地に、容赦のない太陽風が吹き付けた。大気は剥ぎ取られ、海は蒸発し、世界は灼熱の死の星へと変わっていったのだ。

理想を求めた人類が手にしたのは、創造性さえ失った虚無の世界。

その虚無が今度は、人々の心を蝕み始めた。

だからリトルコネクト社は、最後の賭けに出たのだ。

その名は「Genesis Arc Project」。 それはASI《超人工知能》アイリスを礎とする、人々を仮想の世界へ誘う壮大な計画。

それは救済か、それとも新たな絶望の始まりか。

終わりゆく世界で、次なる物語の幕が上がろうとしていた。

- ​Little Flower Project -

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